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2006年10月29日

PETER AND GORDONと東芝EMIの廉価盤

今日は音楽的な話も少し。

日本でもっともロックの名盤的な音源を保持しているのは東芝EMIだと思うのですが、最近はCCCDの件で迷走しがちなイメージがあります。
折角の音源ですので、廉価盤で大量に放出して欲しいなと思っていた矢先、これらの音源が三ヶ月限定ですが1,500円で購入できます。


THE ANIMALS
アニマル・トラックス TOCP-53841
THE HOLLIES
バタフライ TOCP-53842
PETER AND GORDON
ピーター・アンド・ゴードン TOCP-53843
HERMAN'S HERMITS
ハーマンズ・ハーミッツ TOCP-53844
JETHRO TULL
アクアラング TOCP-53845
TEN YEARS AFTER
夜明けのない朝 TOCP-53846
SUZI QUATRO
陶酔のアイドル TOCP-53847
DR.FEELGOOD
ダウン・バイ・ザ・ジェティー TOCP-53848
DR.FEELGOOD
不正療法 TOCP-53849
DURAN DURAN
セブン・アンド・ラグド・タイガー TOCP-53850
ROBERT PALMER
HEAVY NOVA TOCP-53851
ULTRAVOX
ヴィエナ TOCP-53852
THE STRANGLERS
ノー・モア・ヒーローズ TOCP-53853
GENERATION X
ジェネレーションX TOCP-53854
THUNDER
バック・ストリート・シンフォニー TOCP-53855
GOMEZ
ブリング・イット・オン TOCP-53856
GOMEZ
リキッド・スキン TOCP-53857
RADIOHEAD
アムニージアック TOCP-53858
RADIOHEAD
ヘイル・トゥ・ザ・シーフ TOCP-53859
GORILLAZ
リラズ TOCP-53860
GORILLAZ
G SIDES TOCP-53861
THE MUSIC
THE MUSIC TOCP-53862
SUPERGRASS
アイ・シュド・ココ TOCP-53863
GENESIS
インヴィジブル・タッチ TOCP-53864
ROXY MUSIC
アヴァロン TOCP-53865
GARY MOORE
ワイルド・フロンティア TOCP-53866
SIMPLE MINDS
スパークル・イン・ザ・レイン TOCP-53867
MADNESS
ワン・ステップ・ビヨンド TOCP-53868
HUMAN LEAGUE
デアー! TOCP-53869
MASSIVE ATTACK
ブルー・ラインズ TOCP-53870
RICHARD ASHCROFT
ALONE WITH EVERYBODY TOCP-53871

新旧混じったラインナップですが、PETER AND GORDONDR.FEELGOODなどの音源は中古でも探しにくいポジションの音源なので、この機会に購入されるのも良いのではないでしょうか。
私もPETER AND GORDONの音源は即購入しましたが、これが素晴らしい音源でしてソフトロックやフォークロックの起源となる名盤であると共に、非常にポップでありながらも音の端々から品を感じるイカした作品集だと思います。ポールマッカートニーが楽曲提供した事で有名なア・ワールド・ウィザウト・ラヴ(愛なき世界) / A World Without Love(ポールは当時、ピーターの妹ジェーンと交際してました)だけを語られ事が多い彼等ですが、カバー曲のアレンジのセンスの良さが素晴らしく、オリジナルの解釈を加えつつも原曲の良さを壊さない好カバーが多く収録されています。また、あまり注目されてませんが、アルバムの中に絶妙に配置されたオリジナルの楽曲も決してクオリティが低いわけではなく、その辺ももっと語られるべきものだと思います。

ちなみにライナーの中でも解説されているのですが、

「君と僕とで、ピーター・アンド・ゴードンみたいなイカしたデュオを組んでみないか?」

という素晴らしい誘い文句があります。

この言葉はジーン・クラークがロジャー・マッギンと初めて出会った時の言葉だそうですが、この誘い文句は凄く粋だと思いますし、この言葉が無ければザ・バーズが生まれてなかったと思うと感慨深いものがあります。

この辺の話も含めてライナーの文章は充実しており、これで1500円は素晴らしいです。

日本盤の大きな特徴として、このようなライナーの存在があるのですが、しっかりしたライナーと対訳があってこの位の値段なら輸入盤や音楽配信にユーザーが流れる事はまずないのですから、日本のレコード会社はもっと力を入れてもいいのではないでしょうか?
(もちろん、気付きつつあるので、昔に比べて廉価盤が早いスパンで登場しているんでしょうが)

ピーター・アンド・ゴードン
ピーター・アンド・ゴードン
B000HOJBIG

2006年11月01日

BECKの遊び心『The Information』によせて

BECKのニューアルバムに関して少々。

ベックのニュー・アルバム『The Information』が、UKチャート入りを認められなくなった。Official Chart Company(OCC)は、同作には“おまけ”が多すぎると判断したそうだ。
『The Information』には全トラックの“ホーム・ビデオ”を収録したDVD、ジャケットのアートワークを自由にデザインできるステッカーが付随しているが、英チャートを監修するOCCはこれを他のアルバムに比べ「アンフェア・アドバンテージ(不公平な優位性)」を持つと見なした。

ベックは、OCCの決定にチャート入りしようがしまいが「大した問題じゃない」と感想を述べている。「CDのアートは買って聴いてみようという意欲を促進するもの。最終的には(チャート入りは)関係ない。ファンからの反応は、かなりいい。それが1番大切なことだ」とBillboardで語っている。


実に無粋な話だなーと思うのです。


もはやBECKレベルのアーティストなら、チャートアクションにさほど興味は無いでしょうし、本人が述べている通り、今回のパッケージはリスナーを音楽に向ける為の手段でしかありません。
このパッケージに私自身はBECKというアーティストの表現者としての誇りや才能をヒシヒシと感じました。
実際に購入してみると良く分かるのですが、このCDには想像力と遊び心が溢れていて、思わずニヤニヤしてしまいます。
まず、ジャケットは方眼紙のような仕様になっており、そこに自分の好きなようにシールを貼る事ができ、オリジナルのアートワークを作る事ができます。加えて全15曲収録(輸入盤)で全曲のPVが収録されたDVD付き。
もちろん、予算を掛けてないと思われるDVDはそれほど凝っていないチープな作りですけど、十分に楽しめる代物になってます。

で、このDVD付きのCDが今ならamazonで1,780円なんですよ。

さらっと書きましたが、実はこれ物凄い値段だと思いませんか?
日本国内のアーティストはDVD付き(しかも、申し訳程度のPVや特典映像)で3,500円とか3,800円とか平気で売っています。

この根本にあるのは海外のアーティストがCDというフォーマットを販売する為の販促物としてDVDを付けているのに対し、日本のレコード会社は商品単価を上げる為にDVD付きというフォーマットを出しているに過ぎないという利益誘導主義で、日本音楽業界の苦しい事情が見え隠れします(実際はDVD付きのCDは、日本ではDVD扱いなんですが、この話は長くなるのでまた次回で)。

基本的に自分がアルバムを買う時は、その内容が対価に等しいかどうかという判断でしかなく、今回のBECKのアルバムの場合1,780円なら買わざるを得ないほどの良心的な価格だと思いました。逆にこのアルバムが3,800円だとしたら急いで購入する事は無かったと思います。

今回のBECKのアルバムの件で、別の角度から日本の音楽業界の歪みが垣間見えた気がしています。

皆さんはどう感じますか?

The Information
Beck

B000HIVO64

関連商品
The Eraser
Stadium Arcadium
Empire
Shine on
Sensuous
by G-Tools

蛇足になりますが、純粋に作品に対してレビューを少々。

今回のアルバムは一聴すると地味なイメージを持つ人が多いのかもしれない。でもそれはBECKに対する期待感と安心感から生まれるものではないだろうか?
ナイジェル・ゴドリッチのプロデュースがアナウンスされた時から予想された事だが、音のバランスは良いし、クリアで非常に安心できる音の作りになっている。実際に耳を澄まして聴いてみると、そこには様々な音が溶け合って鳴っているし、決して保守的な作品と言うわけではない。ただそれと同時に、ヒップホップやフォークが本来持つ音の響きや太さやダイナミズムが若干薄れている為、全体的にさらっと聴けてしまい、印象に残り辛い仕上がりになったとも言える。
もしこの音を、デンジャー・マウスあたりがプロデュースしたらどんな音になっただろう?と邪推したい気持ちもあるが、それはきっとBECKのライブを見たら吹き飛んでしまうのかもしれない。
なぜなら、常に新しい驚きを与えてくれるBECKの音楽はライブでこそ生きる音楽だし、一流のエンターティナーでもあるBECKこそがプリンスの後に初めて誕生した新世代の王子なのだから。
ラベル:Beck The Information

2006年11月04日

Gin Blossomsが放った正しいギターロック『Major Lodge Victory』

音楽バカな自分ですが、同時に野球バカ(阪神ファン)でもあります。

今年もプロ野球を見てて感動した瞬間は数多くあるのですが、中でも藤川球児という投手には何度も感動と興奮と与えられました。
この藤川球児という投手はストレートという基本中の基本の球種を勝負球としているのですが、そのストレートの威力が半端ではない事でプロ野球ファンに知られています。藤川は今年一番調子が良かった時期、一試合全部ストレートしか投げないという漫画のようなピッチングをしていました。
彼は中継ぎ・抑えのピッチャーですので、多く投げたとしても一試合あたり30球程度なのですが、全力投球のストレートは、バッターがストレートを待っているのに振り遅れてしまうという凄まじいストレートでした。

藤川球児という投手を野球に詳しくない人が見れば、昔から凄いピッチャーで順風満帆の野球人生を送ってきたかのような錯覚に陥るのですが、これは実は違っていて、彼は紆余曲折の野球人生を歩んできているのです。

松坂世代でもある藤川はドラフトでこそ1位指名されましたが、当時は「広末涼子の同級生」という触れ込みだけが目立ち、素材の良さは評価されていたものの、球速が130キロ台後半程度の並みの投手でした。しかも、幾度となくの故障に泣かされ、一時は引退の瀬戸際まで追い込まれた選手なのです。

その藤川が150キロを超える速球で、ここ二年の間に年間80試合登板、47回2/3連続無失点、38試合連続無失点などの球史に残るような記録を残しました。

藤川のピッチングのスタイルが今後どうなるかは分かりませんが、試練を乗り越えて辿り着いたストレート勝負だからこそ、見るものを感動させ続けるのではないかと思うのです。



さて、90年代のROCKを聴いてきた人間なら、一度は耳にした事のあるバンドGin Blossomsの待望の最新作が発売されています。

Gin Blossomsの代表的な曲といえば映画「エンパイア・レコードのテーマソングになった「Til I Hear It From You」(セカンドフルアルバム「Congratulations I'm Sorry」の日本盤にも収録)が有名だと思うのですが、当時のシーンにおいても、実に真っ当なギターロックを鳴らすバンドでした。そんなGin Blossomsが10年振りに完成させたのが、今作「Major Lodge Victory」という作品でして、これが実に味わい深いギターロックの名盤となってます。

ほとんどのバンドは長い間音楽活動を続けていくにつれて音に迷いや停滞を見せてしまうのですが、Gin Blossomsは10年前から音楽の軸が一ミリもぶれていません。
Gin Blossomsの音は過剰にアッパーでもなくハードな音でもないですが、非常に心に染みるメロディと心地よいギターサウンドを全編に渡り聴かせてくれています。非常にストレートで直球勝負な音作りですが、今作はクオリティが高い為、最後までテンションが落ちずにアルバム一枚を聴き通す事が出来ます。

また、音だけ聴くとこのバンドが随分と長い間変わらずに、このようなギターロックを鳴らしてきたかのような錯覚に陥りますが、実はこのバンド、メンバーの脱退や死そして解散→再結成という紆余曲折があったバンドです。
幾多の試練を乗り越えてこのサウンドに戻ってきたという事が素晴らしく、むしろそのサウンドが以前より輝きを放っているという事実がGin Blossomsの音楽を聴くものを感動させ続けるのではないかと思うのです。


Gin Blossomsの略歴についてはGin Blossom's Worldさんという素晴らしい日本語のファンサイトがあるのでそちらをぜひ参照して頂きたいと思います。特に最新のインタビューはかなり興味深い内容になっています。

長々と書きましたが、私自身もこのGin Blossomsの最新作のことは昨日ご紹介させていただいたThe Muffs' Fanpage In Japanさんのこの記事で知って、大慌てで購入した次第です。
悲しいかな日本盤も出ていない為、ほとんどの音楽誌ではなかったことのような扱いですが、インターネットのサイトやブログから口コミでCDが売れる時代がすぐそこまで来ていると信じたいです。音楽業界のマーケティングにおいてリスナーの声が無視できないように、微力でも何かを伝えれるようなサイトを作れるようにしたいものです。

Major Lodge Victory
Gin Blossoms

B000G2YD14

関連商品
Another Fine Day
ザ・シルバー・ライニング
The Lemonheads
How to Save a Life
Open Season
by G-Tools

2006年11月09日

PipettesとTony Macaulay&John Macleodの系譜

最近ロック系のクラブでもヒットしているPipettesですが、私自身は盛り上がりきれない複雑な感情を持っています。
We Are the Pipettes
The Pipettes
B000GHEAPS

コンセプトも理解できるし歌唱力も確か、おまけに曲がキャッチーなので、話題になるのは当然だと思います。ただ、この音が2006年の今を代表する音かといえばそうではないだろうし、コンセプトに徹しきっているかというと少し違うような気がして何だか寂しくもあるのです。
また、Pipettesのヒットがきっかけで過去の音源を聞き始めるリスナーがいれば、それはとても素晴らしい事だと思うのですが、まだ、その雰囲気をいまいち感じれない事に違和感を覚えているのかもしれません。
とはいいながらもPipettesの様な存在は貴重だと思いますので、まだ一部のインディーズファンにしか届いてないPipettesの音が日本でも多くの音楽ファンに届けばいいなと思ってます。


完全にオリジナルな音楽は、この先、生まれてこないのかもしれないような時代でも、新しい音源は次から次へとリリースされます。新しい音楽を追うだけで精一杯になってしまったり、思い入れも無く有形物でも無いデータだけに音楽が成り代わってしまったら、楽しんで音楽を聴けなくなる時代か来るかもしれません。それは凄まじく悲しい事だと思います。色々な音楽が自分の周りを通っていっても、人それぞれが感じる大切な音楽は、今も昔もそれほど変わらないのです。記憶から無くならない様に、大切な音楽が大切に伝わる様に。音楽という極めてアナログな文化が無くならなければいいなと思います。


さて、だいぶ話は逸れましたが、実は今amazonでは『CDを4枚買ったら1枚無料』という安いのか高いのか分からない微妙なキャンペーンが行われています(いやもちろんお得とは思ってます)。

その中のCDの中から3枚。

Pipettesを聴くならこっちもどうぞという感じでご紹介です。

The Paper Dolls House: The Pye Anthology
Paper Dolls
B00005NFEI


Paper Dollsはかなり正統派のガールズグループだと思います。わかりやす過ぎるほど適当に名付けられたTIGER、SPYDER、COPPERの三人は、特別に可愛い訳でもなく歌が上手いわけでもない。でもその三人がTony Macaulay&John Macleodの名プロデュースで生き生きとしたサウンドを聴かせてくれます。
面白いのは、ポール・マッカートニーがシラ・ブラックの為に書いた「Step Inside Love」のカバーが収められている事で、この曲がうまくはまっています。カバーも多いですが、オリジナルに良い曲も多く「Someday」という曲が個人的には名曲かと思います。


また、ガールズグループではないですが、同じTony Macaulay&John Macleod関連でお勧めできるのが、Pickettywitch
That Same Old Feeling: The Complete Recordings
Pickettywitch
B00005IB79


これは一般的にソフトロックというジャンルとして語られるCDになると思うのですが、Paper Dollsに比べてPickettywitchの方が音楽的には幅が広いので、多くの人が楽しめると思います。シングルにもなった「Summer Feeling」と「That Same Old Feeling」のダブルフィーリング(ただ言って見たかっただけです)が有名です。


さて、最後はThe Breakaways & Friends なのですが、
That's How It Goes: The Pye Anthology
The Breakaways & Friends
B0000A5BUE


このアルバムはアンソロジー的なものでして、The Breakawaysを中心としたコンピ盤のようになっています。彼女達は様々なアーティストと場数を踏んでいるだけあってコーラスワークが素晴らしいです。有名な「That's How It Goes」のStereoバージョンが入っているのでぜひ一家に一枚どうぞ。

ちなみにこの3枚は同時購入した人が多く、amazonのお勧めで辿る事が出来ます。3枚買ったらもう1枚は無料で買えますので、ロックを中心に聞いている人は名盤といわれるものがキャンペーン商品の中に沢山ありますので、その辺を購入するのはいかがかなと思います。
個人的にはkinksUndertonesあたりをお勧めしたいかなと。また、比較的最近発売されたPlaceboTIM BOOTH(ex James)などもありましたのでご参考までに。

キャンペーン詳細はこちら

年内で終了のようです。

最後に、こちらはキャンペーン対象外ですが、Tony Macaulay&John Macleodの働きっぷりを堪能できる二枚組です。日本では知名度は高くないのかもしれませんが、Pipettesを最近聞いている人にこそ聴いて頂きたいかなと。かなりの曲数のわりに安いですし。
Buttercups & Rainbows
Various
B00005O04W

2006年11月18日

本年度NO.1の好カバー曲Youth Group「Forever Young」

この世の中にカバーソングは数多くあります。
一見カバーソングは安易に取られがちですが、実は原曲の良さを生かしつつ新たな解釈を加える事は難しく、本当の意味で好カバーといわれる曲が生まれる事は少ないのかもしれません。

日本の音楽業界でも安易にカバー曲が発表されています。
しかもカバーの周期が異様に早く、最近では90年代の曲のカバーが中心のようです。
これは何故かというと、過去の名曲をカバーする場合、そのアレンジ力が問われるわけで、その点からいえば、90年代に日本でヒットした曲はそれほどアレンジを加える事も無く「ちょっとした懐かしさ」と「アーティストの知名度」で売る事が出来る曲が多いからです。
レコード会社側にとってみれば、これは美味しいでしょうしアレンジを加える事のないアーティスト側にとっても楽な事なのかもしれません。

元来、音楽の流行の周期は20年と言われていて、発表から10年後は彼方此方で叩かれ評価を落とすのですが、20年経つと再評価される傾向がありました。80年代にあれだけスルーされていたBeatlesも再評価されましたし、音の軽さから90年代には評価の低かった80年代の音楽も今また再評価されているように思います。

この周期からずれている感のある日本の音楽業界は少し特殊と言えるのかもしれません。


さて、オーストラリアのバンドYouth Groupがカバーした「Forever Young」 はドイツのAlphavilleというグループの名曲です。
忘れてしまった歌が沢山ある

それでもたくさんの夢がゆれている

夢をかなえなくては 永遠に若いままで

「Forever Young」はそんな普遍的なメッセージを伝えています。

Alphavilleは80年代を代表するグループで、1984年に「Big in Japan」が大ヒットしました。
ポップなメロディをシンセに乗せるという、その意味では非常に80年代らしいグループで、日本ではそれほど認知度は高くないかもしれませんが、現在も活動している息の長いグループです。
ちなみにこの「Forever Young」はアメリカでは高校生の卒業ソングの定番として人気があり、様々な場所で歌われています(多分日本でいう“贈る言葉”的な存在かと)。
歌詞の内容といい、いかにも合唱に合いそうな高揚感のあるメロディといい卒業ソングとしての要素を兼ね備えたこの曲ですが、
Forever Young
Alphaville
B000025Z09


Youth Groupがカバーしたバージョンは、実に見事なギターロックに変貌を遂げており好カバーと言えると思います。
音的には平坦な原曲をより高揚感のあるアレンジに仕上げ、メロディの良さを十分に生かしています。ベースラインが耳に残るなーと思っていたのですが、それは雰囲気がTHE STONE ROSESの「I WANNA BE ADORED」に似ているからかもしれません。

Forever Young
Youth Group
B000EHQ7GA


現在この曲のシングルは手に入りにくいですので、
「Forever Young」収録のアルバムをお勧めしたいと思います。

Casino Twilight Dogs
Youth Group
B000GG494Q


ドイツのグループの曲がアメリカでヒットし、オーストラリアのバンドがカバーする。それを日本の自分が紹介している。

何だか不思議で感慨深くもあり、素晴らしく素敵な事だなと思うわけです。

Myspaceで試聴も出来るので興味のある方はどうぞ↓
http://www.myspace.com/youthgroupmusic

2006年11月23日

ベスト盤を考える。oasisの「Stop the Clocks」によせて

元来ベスト盤というのは、長年にわたりアーティスト活動を続けてきた証でもあり、多くの作品を生み出し続けたアーティストを、後追いで追いかけるリスナー為の入門盤であったはずです。

昨今ではアーティストの意向と関係なく、ベスト盤が発売される事が当たり前なってきているのは周知の事実だと思いますが、これはアーティストの契約上の問題も複雑に関係していて、アーティストがレコード会社を移籍する場合は殆どの場合でベスト盤が発売されます。

簡単にいえば
「あんたら契約上はあと○枚アルバムを出す契約なんだから、移籍するならベスト盤を出さないと移籍出来ませんよ」
という事なのです。

日本の場合はセールス的な問題で、キャリアの浅いアーティストにも早い段階でベスト盤を出させる傾向にあるのですが、海外のアーティストの場合、このような裏事情がある場合が多いのです。


先日発売されたoasisのベスト盤「Stop the Clocks」もこのような事情がある作品で、次回作は自分達のレーベルであるBig Brotherでの展開を予定しているoasisがsony側から促されて製作したベスト盤です。
oasisの中心メンバーであるノエルいわく「自分が監修しないとsonyに勝手にシングルヒッツを出される」との事で、渋々ノエル自身が選曲したベストアルバムになっているのですが、この二枚組の選曲は興味深い物になっています。

oasisのライブを体験した事がある方ならお分かりかと思うのですが、ライブのセットリストに非常に近い印象を受けます。
「Rock 'N' Roll Star」で始まり「Don't Look Back In Anger」で終る選曲はライブそのものだし(日本盤はボーナストラックが入ってますが)あえてシングル曲の収録を減らし、B面の曲を散らしている事でベスト盤にありがちな重たさも無く、すっきり聴けるアルバムとして成立しています。

このベストアルバムに関して、日本でも馴染みの深い名曲「Whatever」が収録されていない事に、ファンの間で賛否両論が起こっているのですが、私自身はこれは大正解だと思っています。

「Whatever」自体がライブで歌われる事の少ない曲だという事もあるのですが、個人的にoasisがここまでメジャーなバンドになったのはファーストアルバム「Definitely Maybe」とセカンドアルバム「Morning Glory」を繋ぐ役目の「Whatever」の存在が大きく、セカンドアルバムからシングルになった「Roll With It」「Wonderwall」「Don't Look Back In Anger」の三枚がカップリング曲を含めて神がかり的に出来が良かった事こそがoasisの全てだと思っています。
未だにどのアルバムにも未収録の「Whatever」こそがoasisの象徴的な一曲であると思っていますし、逆に「Whatever」「Stop the Clocks」に収録されていないというところに、ノエルのこだわりや気骨を感じます。

蛇足ですが、ノエルも認めている通り「Whatever」Neil Innes「How Sweet To Be An Idiot」という曲から2小節ほど拝借してきているので、この辺りの権利的問題があって収録されなかった理由なのでは?という見方もあるようです。
個人的にはRutlesの中心人物であるNeil Innesoasisが繋がって、この二つのバンドがBeatlesを中心に繋がっている事の方が素晴らしく微笑ましいので、邪推しすぎなのではないかと。
ちなみに、Rutlesの「Archaeology」というアルバムに収録の「Shangri-La」が「Whatever」のアンサーソングだといわれていて、非常に懐の深い対応だなと思うわけです。
Archaeology
The Rutles
B0000081UR


話は逸れましたが、oasisのベスト盤「Stop the Clocks」は色々な意味でベスト盤の存在を考えさせれました。

ファンなら収録曲は全て持っているでしょうし必要の無いアルバムといえますが、ノエルの選曲の意図を考えながら、DVDやブックレット、アートワーク等を楽しむのであれば購入する意義は十分にあります。
oasisに触れた事のない人にとって見れば入門盤としての役目は果たしますし、このベスト盤を気に入ればオリジナルアルバムに手が伸びる事になるでしょう。


それこそが、紛れも無くベスト盤の役目だと思います。

Stop the Clocks
Oasis
B000J4OSRI


おまけ
画質は悪いですが最後の合唱をぜひ

2006年12月01日

インディーズからの正しい返信。The Bluetones / The Bluetones

ファーストアルバムがある程度のセールスを伸ばしても、レコード会社から契約を切られ、いつの間にかインディーズや自主レーベルでの活動を強いられるアーティストが後を絶ちません。

レコード会社から契約を切られる場合は

1、広告費を掛けた割に一枚目のセールスが伸びなかった

2、最初は良かったが二枚目三枚目とセールスが伸びない

3、レコード会社の意向に沿ったアルバム内容もしくは製作ペースでない

大体この三点が大きな理由になります(まあセールス的な都合が多いです)。
もちろん、アーティスト側とレコード会社の意向が合わずに離脱や移籍するアーティストも数多くいます。

日本の音楽業界(特にロック系)では有名音楽雑誌でどれだけ取り上げられるかがセールスを握るといっても過言ではなく、その扱いやセールスの内容によっては日本のみで流通するアルバムを発売出来たりしますし、アルバムを大幅に先行発売する世界的アーティストも少なくありません。
日本ではドラマや映画の主題歌に洋楽が使われる事は多くありませんので、洋楽のセールスにおいては未だに紙媒体の影響が強いと思います。

しかし、最近ではインターネットの普及と共にネット上から人気が出るアーティスト(My spaceやブログ、Youtubeなど)が徐々に増えてきました。
これからはインターネットを使った販促を無視する事はできないと思いますし、徐々に紙媒体に依存しない独自の広がりが音楽業界に見られるようになると思います。
私自身、音楽業界は今後ネット上の口コミのマーケティングを重要視せざるをえないと思ってますし、その為に音楽データベースのような情報が集まる音楽専門のポータルサイトのようなものが必要になってくると思っています。


さて、今回ご紹介するイギリスのバンドThe Bluetonesも一枚目はイギリスでも日本の音楽雑誌でも大きく取り上げられ、UKチャートの1位を獲得したほどのバンドです。
しかし、枚数を重ねるにつれセールスも伸び悩み(といっても三枚目のアルバムもチャートベスト10に入ったようです)、そしていつの間にか日本の音楽雑誌からもほとんど無視される存在になってしまいました。
そんなThe Bluetonesが発売した五枚目のアルバム「The Bluetones」は原点に回帰しながらもしっかりと足場を固めた素晴らしい作品となっています。

日本でもそれなり人気があったThe Bluetonesですが、ロッキングオンという日本で有数の音楽雑誌の中で、当時の編集長である山崎洋一郎氏に、このように取り上げられた事があります。

僕が一番ショックを受けたのが、ロッキング・オンでは見た事のないヘヴィー・ロックやヒップホップのグループのそれなりに力が入ったクリップが流れているときにふと、ロッキング・オンではおなじみのブルートーンズのクリップがはさまった時だ。正直に言って、現在形のバンドとしてのアクチュアリティーも、そんなものはくそ食らえと言いきれる思い切った個性も、画面からは出ていなかった。オアシスやトラヴィス、ブラーやリチャード・アシュクロフトのクリップにはそんな事は全く感じなかった。いや、むしろ堂々としたUKらしさをふりまいていて頼もしかった。

〜中略〜

その時かかったブルートーンズの圧倒的な弱さ、中途半端さは自分の中でフォローできないほど明らかだった。僕はブルートーンズをコケにしたいわけではない。UKよりのリスナーの自分にとっては、彼らのUKバンドらしいたたずまいとしっくりなじむメロディには愛着と親近感がある。だが、その愛着と親近感にあまりにも寄りかかりすぎていたのではないか・・・

〜後略〜

ロッキングオン2000年 7月号 激刊!山崎
より引用

当時、この文章を読んだ時に何ともいえない違和感と嫌悪感を覚えた事を記憶しています。

全く対極であった当時のアメリカの音楽シーンを比較の対象に挙げているのですが、あまりにも比べる観点が突飛ですし、何を持って強さと中途半端さを推し量っているのかが不明瞭で、その辺に違和感を感じていました。
この文章では、あくまでも一個人の感想の域を出ていないですし、編集長の立場としてこの文章を誌面でわざわざ取り上げる必要性が希薄ではないかと思うと、何だかやりきれない気持ちになったのです。
もちろん、この後ロッキングオン誌でThe Bluetonesが大きく取り上げられる事がなかった事はありませんでした。

The Bluetonesの魅力はUKロック独自の弱さや儚さを持ちつつも、懐古主義にならない程度のビンテージ感をバランス良く鳴らしているところであり、山崎氏の述べている弱さや中途半端さと表裏一体な部分もあるのではないでしょうか?

さて、話を戻します。

The Bluetonesの新作「The Bluetones」は傑作です。

前作「Luxembourg」ではRamonesからの影響も口にしていたマーク・モリス(vo)ですが(実際にBeat On The Bratもカバーしてます)、前作で手にしたボトムの強さを消化しつつも、UKギターロックとしての集大成を今作で見せ付けました。
一曲目の「Surrendered」のように、ほぼ完璧なブルートーンズ節を聞かせながらも、ポップスとしての一つの方向性を打ち出した曲もあれば、前作の流れを汲んだ「Head On A Spike」もあり、一つのアイデアのみをこれでもかと推し進める従来のThe Bluetonesの手法を極めた先行シングルの「My Neighbor's House」もあり、それぞれの曲が違和感無くアルバムに溶け込んでます。
初期のThe Bluetonesの弱さから目を背けず、裏切らず、全てを乗り越えて進んでいこうとする強さが今作にはありますし、ギターロックバンドとしての意欲作であった前作「Luxembourg」と対を成す内容になっているので前作と一緒に聞いて見て頂きたいと思います。

Luxembourg
The Bluetones
B000F6ZFH2


あれから六年経ちました

これでもThe Bluetones

圧倒的に弱くて中途半端な存在でしょうか?


The Bluetones
The Bluetones

B000I5YVBG

関連商品
My Neighbour's House
Rough Outline: The Singles and B-Sides 1995-2003
by G-Tools

2006年12月08日

Bowling For Soupの愛すべきマンネリ「Great Burrito Extortion Case」

マンネリとはマンネリズム【mannerism】の略で手法が型にはまり、独創性や新鮮味がないこと。

大辞泉より

音楽業界でもマンネリという言葉は良く使われます。

長く音楽活動を続けていく内にマンネリと呼ばれるようになり、リスナーから飽きられる事は良くあることです。
逆にいえば作品に変化が出てくるのは、音楽活動を続ける過程において、当然の事だともいえます。

しかし、一概に変化する事が良いとは限らないのではないでしょうか?

最近の傾向として、アルバムごとに大きく様変わりするバンドやアーティストも増えてきたように感じます。変化する事で新鮮味を保ち、新しいリスナーを獲得する事は大切でしょうし、マーケティングの観点から見た場合、当然の事なのかも知れません。
そういった意味では同じ様な作品を作り続ける事は、セールス面においては非常にリスクの高い事だとも言えるでしょう。

ただ、ファーストアルバムで提示した方向を消化せず、音楽性を極める前にひたすらシフトチェンジする事で中途半端な作品を作り続けるのであれば、Ramonesのようにひたすらに一つの音楽性を極める方が多くの人の心にいつまでも残るのではないかとも思います。



さて、Bowling For Soupの新作「Great Burrito Extortion Case」が発売されました。
Bowling For Soupは既に10年以上のキャリアのあるアメリカのバンドですが、7枚目の前作が過去最高のセールスを記録あげています。


私が彼らを知ったのはメジャーデビューアルバム「Let's Do It for Johnny!」でまず最初に目を引いたのがメンバーのChris Burney/クリス・バーニーの巨漢でした。彼がドラムであると信じて疑わなかった自分ですが、後に彼がギター担当であると知って驚愕し、「お前がギターかよっ!」と思わず口に出したと共に、迂闊にも軽く感動してしまった事を覚えてます。

Let's Do It for Johnny!
Bowling for Soup
B00004SBRX


彼がギターであることによりこのバンドはパフォーマンスの面で大分得をしているでしょうし、事実グラミー賞のベスト・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞してます(彼に直接関係ないかもですが)。


少し話が逸れましたが、彼らの新作である「Great Burrito Extortion Case」はインディーズから数えて通算8枚目のアルバム(未発表曲やサントラ提供曲、Bサイド曲をコンパイルした“Bowling For Soup Goes To The Movies”を入れれば9枚目)になるのですが、基本的なサウンドはほとんど変わっていません。分かりやすいサウンドとメロディにユーモアと固有名詞を詰め込んだ歌詞。はたから見るとマンネリに見えるかもしれないほどの微笑ましいサウンドと歌が詰め込まれたアルバムですが、それを極める事によってボウリング・フォー・スープ節を確立した感があります。
また、今回のアルバムは外部から多くのプロデューサーや競作者を招いて製作されており、各プロデューサーが変化を加えることで楽曲に緩急が付き、アルバム全体のバランスを保っています。※Butch Walker、Adam Schlesinger(Fountains Of Wayne)、Mitch Allan(SR-71)、Stacy Jones(American Hi-Fi)などなどそうそうたるメンバーが参加。
Butch WalkerやAdam Schlesingerは素晴らしいプロデューサーではありますが、今作においてBowling For Soupが一人のプロデューサーに依存しなかった事は成功だったと言えるでしょう(Butch WalkerやAdam Schlesingerの最近の活動や作品を見る限りでは)。
今作でもハイスクール時代の悲喜交交を歌った「High School Never Ends」を始め、Bowling For Soupは一貫して恋愛と青さと眩しさとくだらなさを歌い続けます。
その音楽と人生を楽しもうとするスタイルこそが情けなくもあり、また潔くもあるのです。

人生で体験する複雑な人間関係の駆け引きって、つまりはハイスクールから始まっているんだ。

「とにかく5年ほど辛抱すれば、キミもそのころには変わってて、今の泣きたい状況も笑い飛ばせるようになるから」って、悩める若者に言ってあげたい。

日本盤ライナーJaret Reddick/ジャレット・リディック(Vo&G)のインタビューより引用


彼らの曲が苦しみを吹き飛ばし、微笑ましいほどポップなのは何故か?

答えはJaret Reddickのこの発言の中にある気がします。

Bowling for Soup Goes to the Movies
Bowling for Soup
B000BM6ARY


ブリトー強奪大事件
ボウリング・フォー・スープ
B000J10EHE

2006年12月23日

クリスマスアルバムを各種ご紹介

クリスマスなので、取り急ぎお勧めのクリスマスアルバムを(既に遅いかもですが)。

今年出たものではAimee Mannのカバーアルバムである「One More Drifter in the Snow」(オリジナルの楽曲は一曲のみ)が良い出来でした。
この手のカバーが中心になるアルバムは、当然ボーカリストの力量が問われる事になります。
私はAimee Mannの、透明感がありながらも凛とした声質がかなり好きですので、必然的にこのアルバムは琴線に触れることになります。
彼女の声を聞くと背筋がシャンと伸びるような気持ちになり、でもそれと同時にどこか暖かい気持ちになります。そんなボーカリストは稀有の存在ですので、興味のある方はぜひぜひオリジナルアルバムを聞いてみてください。

このアルバムを含め、Aimee Mannのアルバムのジャケットは良く分からないものが多いですのでジャケ買いはし辛いですが、毛嫌いせずにどうぞ。

One More Drifter in the Snow
Aimee Mann
B000IMUYEC


ジャケ買いしそうにないジャケ達一覧・・・
The Forgotten Arm

Lost in Space

I'm With Stupid

Whatever

さて、二枚目は昨年出たBrian Wilson「What I Really Want for Christmas」なんですが、これまたいかにもBrian Wilsonという内容でニヤニヤするしかないんですが、Brian Wilsonのいかにも神々しい声と聖夜のイメージってピッタリなんですよね。
その意味では近年出たものではクリスマスに最もマッチングしたアルバムといえるでしょう。


ちなみに先述のAimee Mannは夫のMichael Pennと「AN ALL-STAR TRIBUTE TO BRIAN WILSON」というDVDの中で「I Just Wasn’t Made For These Times」をカバーしています。

What I Really Want for Christmas
Brian Wilson
B000BC8TDM


最後にクリスマスの楽しさを表現するのなら、Phil Spector「A Christmas Gift for You from Phil Spector 」が定番中の定番だと思います。所謂、ウォール・オブ・サウンドの総決算的なアルバムともいえますし、ガールズグループだけの枠に留まらないポップスアルバムとして、評価されている一枚です。

A Christmas Gift for You from Phil Spector
Phil Spector
B000003BD7


とまあ、駆け足でお届けしましたが、コンピレーションアルバムも沢山出ている事ですし、行事に追われるのではなく、気軽にクリスマスには音楽を楽しんでいただきたいもんです。

※ 実は今年、所持しているクリスマス音源でクリスマスアルバムをコンパイルするつもりだったのですが、時間が全然足りませんでした・・・
来年こそは作ってみたいと思いながらも、また口だけになりそうだなと思ったり思わなかったりです。

2006年12月27日

Tilly and the Wallが奏でる音楽の可能性

ファンクを生み出したジェームスブラウンが天に召されました。
私は幸運にも一度だけジェームスブラウンのライブを見たことがあるのですが、エネルギーに満ち溢れて圧倒的な空間がそこにあり、コッテリと濃厚な世界観をまざまざと見せ付けられました。

HIP HOPもそうだったように新しいジャンルが生まれる瞬間には他を寄せ付けない圧倒的な力が働くのでしょう。

もしかすると、完全にオリジナルの音楽というものは今後この世に誕生しないかもしれません。
だけどそれを嘆くのではなく、様々な音の要素とメロディを紡いでいく事で生まれ変わった音楽を、素直に喜んで楽しむ事の方が大切なのかもしれません。

Tilly and the Wallというバンドはそんな音楽の可能性と楽しみ方を提示してくれたバンドといえるでしょう。このバンドは何とドラムの代わりにタップダンスをリズムの中心においています。これが思わず微笑がこぼれてくるほど素晴らしく、ありそうでその発想はなかったタイプのバンドがロックとタップの出会いを素敵に演出してくれています。
タップ担当のジェイミー・ウィリアムスのタップはリズムを刻みながらも歌うように軽やかに、そして駆け上がるように音楽を奏でています。
最新アルバムの「Bottoms of Barrels」は全体を通して、まるで楽団を見ているような錯覚に陥るほど、ライブ感のあるアルバムだと思いますが、中でもウォール・オブ・サウンド風の「Sing Song Along」は出色の出来です。

そこには魔法に掛かったようにポップなメロディがロックだけに収まらず、カントリーやエレクトロまでを飲み込んで鳴り響いています。

Tilly and the Wallのようなバンドが生まれてくる事に音楽の無限の可能性を感じるし、まだまだ音楽を聴き続けなければならないと感じさせてくれるのです。
Bottoms of Barrels
Tilly and the Wall
B000F3AJSK


ウォール・オブ・サウンドといえば先日もご紹介した、Phil Spectorですが、今ならアメリカの本家amazonやマーケットプレイスでは4枚組のBOXセット(クリスマスアルバムも入ってます)を格安(3000円以内)で手に入れる事ができますので、興味のある方はこちらもぜひ。

Back to Mono (1958-1969)Back to Mono (1958-1969)
Phil Spector


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2007年01月07日

Mcflyが見せる無邪気な向上心「Motion in the Ocean 」

明けましておめでとう御座います(遅いですが)。

それでは本年度第一回目のレビューです。

日本で男性アイドルといえば、ほとんどの人がジャニーズ事務所に所属するアイドルを挙げると思います。
実際に年間チャートなどを見てみると、日本のシングルセールスランキング上位はジャーニーズのアイドルで占められています。
日本でアイドルという言葉が使われだしたのは1970年代だと言われていますので、男性アイドルと呼ばれた人の走りは新御三家(郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎)あたりになります。その後、80年代以降はジャニーズが登場しますので、日本におけるアイドルの歴史=ジャニーズの歴史といっても過言ではありません。
この様に、一つの芸能事務所が独占的に市場を独占している事は世界的には珍しい事だと言えますし、その事が日本のアイドル文化の広がりや面白味を半減させている事も確かでしょう。


イギリスでは90年代はアイドルグループが絶大な人気を誇り、Take Thatを始め、Bad Boys Inc、East 17、Five、Boyzone、Blue、Westlifeなどなど・・・沢山のグループがヒットを飛ばしました。ちなみにWestlifeと再結成したTake Thatは現在でも凄まじい人気を誇っております。

Beautiful World
Take That
B000K9L32U


そのアイドルグループ人気の反動で、2002年にBUSTEDというバンドスタイルでアイドル的な人気を誇るバンドが登場し、バンド自体は短命で既に解散していますが、当時のイギリスの音楽シーンに強烈なインパクトを与えました。
このBUSTEDの流れを継承したと言えるのがMcflyで(メンバーのトム・フレッチャーがNME誌に掲載されていたバステッドのメンバー募集広告を見てオーディションを受けたことがデビューのきっかけとなっている)、現在のイギリスで圧倒的な人気を誇ります。

このMcflyの凄さはハイペースで作品をリリースしている事で、2004年デビューで、現在までに既に3枚のアルバムを発売しています。しかも、その間にもシングルを乱発していますので、累計の発売枚数を考えると今のシーンでもかなり特異な存在といえるでしょう。
ニューアルバムの「Motion in the Ocean」はシングル、及びカップリング曲が多数収録されていますが、それでも全英アルバムチャートの6位に初登場しています。

さて、肝心の内容ですが、前作で見せたロックバンドとしての可能性を昇華させた完成度の高いアルバムといえるのですが、カッチリと作りすぎた為に音が少し硬い印象を受けます。この辺はプロデュースの問題かもしれません。プロデューサーはイギリスのバンド、Aのフロントマンのユニットなので、ミクスチャー的な音作りをするAの、ややハードな音の感覚が残っているように思います。
Mcflyはソングライティングの高さに見るべき部分がありますので、このメロディにはもっと柔らかでラフな音が合うと思うのですがどうでしょう?
ジャケットやタイトルからも分かる通り、海を意識したアルバムなのですが、音の方もBeach Boysを意識したコーラスワークが随所に見られます。それでいて、こじんまりとした音にならずに、バラエティに飛んだ内容をとことんポップに聞かせるアルバムになっているので全編を通して楽しめる思います。

いずれにせよ、二十歳そこそこのMcflyですので、今後も楽しみでもあり、シングルのカップリングで見せる、カバー曲のように少し余裕のある音作りが見られれば、より素晴らしい作品も期待できると思います。

彼らはKillersやKaiser Chiefsのヒット曲をなんのてらいもなく無邪気にカバーし、その一方ではQueenの超有名曲「Don't Stop Me Now 」を真正面からカバーしています(今作の日本盤のボーナストラックにも収録)。
この無邪気さに、音楽に対する純粋な愛情を感じますし、非常に出来の良いカバーですので機会あれば一度聞いてみて下さい。

モーション・イン・ジ・オーシャン
マクフライ
B000JLSWU0


私はMcflyこそが日本の音楽シーンに欠けている向上心を持つ健全なバンドだと思うし、アイドルの枠を超えた微笑ましい存在だと思う。
Mcflyみたいなバンドが日本に沢山出てくれば、もっともっと音楽でワクワク出来るのに!

「Motion in the Ocean」はそんな気持ちにさせてくれる貴重な一枚なのです。

2007年01月11日

新生EverclearのLove Album 「Welcome to the Drama Club」

バンドというものは生きものですので、メンバー交代が付き物だと思うのですが、メンバーチェンジ後も変わらずに良質の音楽を届ける事が出来るかが問題になってきます。

世界で一番有名なメンバーチェンジを行ったバンドって、どのバンドになるんでしょう?

まず頭に浮かんだのはThe Rolling Stonesですが、ブライアン・ジョーンズは大分昔に亡くなってますので、メンバーチェンジという感じでも無いですし、その他のメンバーチェンジに関してもあれだけ長い間活動を続ければ仕方ないかなと思います。
また、Oasisの様に兄弟以外総入れ替えのパターンやVan Halenのように歴代でボーカルが代わっていく稀なケースもあります(Van Halenの場合、ヴァンヘイレン兄弟の親父がアルバムにゲストで参加したり、仕舞いにはエディの息子がメンバーとして加入したりと、かなり特殊)。


で、今回ご紹介するEverclearも昨年発売された新作「Welcome to the Drama Club」でメンバーが大幅に変わって・・・どころか三人組から五人組へと増員。
しかもボーカルであるArt Alexakis(アート・アレクサキス)以外のメンバーは総入れ替えになっています。

日本では全くと言って良いほど人気の無いEverclearですが、アメリカでの人気は根強いものがあり、既にアルバムも7枚リリースしています(旧作は廉価盤もありますし、中古も出回ってますし、ついでに言えばベスト盤も出てます)。
日本で人気の無い理由は、恐らく、その音楽のイメージが定着していないからではないかなと思っていて、何となく自分も最初はハードなバンドなのか、アコースティックなバンドなのか良く分からないイメージを持ってました(ホント何となくですが)。だけどこのバンドの本質は実にポップな面を持ちながらハードな面と共有してるところで、日本でも多くの人の耳に止まる機会がありさえすれば、もっと支持されても良いと思っています。
普通にGreen DayやWeezerを聞いている人達にも十分に届く音ではないかと。

そして肝心の新作の内容なんですが、メンバーチェンジが良い方向に向かっている事をヒシヒシと感じれる快作になっています。

前作の「Slow Motion Daydream」がややハードに作り込み過ぎた感があったので、個人的には今作の方がかなり好きなわけですが、

Slow Motion Daydream
Everclear
B00008CLIJ


これは前作より決定的にメロディが生きているからで、これこそ新生Everclearであり、誰もが愛したEverclearの音楽ではないかと思うわけです。
全体的に今までより柔らかな音触りなのは、新メンバーのキーボードとコーラスワークの賜物だし、色々な楽器の要素がバランス良くアートの書くメロディに魂を吹き込んでいます。
まだ国内盤も出ていないですし、英字のブックレットとサイトからしか判断できないのですが、昨年アートの母親が亡くなった事が音楽にかなりの影響を与えている事は間違い無いと思います(ブックレットにi miss momと表記があり、これがまた泣ける)。
その反面、子供達の声が効果的にフューチャーされている事が、その事実を際立たせているようで非常に愛おしくもあり、また感動的でもあるのです。


昨年出たアルバムでこれだけ愛に満ち溢れたアルバムは無い。


そう断言させてしまうアルバムです。
Welcome to the Drama Club
Everclear
B000H7J9YY


と、まあ褒めちぎったんですが、このアルバムは年末バタバタしててあまり聞けてなく年間ベストアルバムの選考対象外に・・・

今年はこのアルバムばかり聞いてるんで許して下さい。

おかえりなさい

そして

行ってらっしゃい 

新生Everclearを心から祝福します。

2007年01月12日

Ginger団長のロックンロールサーカス「Yoni」

バンド活動とソロ活動を並行してやっていくのは難しいことだと思います。
大抵の場合、バンドでは出来ない新しい試みに挑んでみたり、自分の原点に戻るような音楽性を追求したりと、新たな音楽活動を模索していく事となります。

ソロアルバムがバンドでのアルバム以上の評価やセールスを得る事は、実に稀な事ですし、バンドでの内容とさして変わらなかったり、アーティストの自己満足的な作品に終始してしまう事も少なくありません。


その点で言うと、the WiLDHEARTSGingerのソロアルバム「Yoni」は想像を超える素晴らしい作品になりました。


冒頭の「Black Windows」からレゲエとスカを交配して作ったロックの果実を脳味噌に押し付けれられるような感覚に陥り、「When She Comes」と「Holiday」のポップネスに浸るのもつかの間、「Smile In Denial」のめくるめく叙情詩に耳を奪われ、中盤の組曲的なバラードから終盤のバラエティに富んだ楽曲までフルスロットル。

前作「Valor Del Corazon」
Valor del Corazon
Ginger
B000CR5QB4

二枚組だった為、若干散漫な印象を持ったのですが、今作はそれを濃縮してギュウギュウに詰め込みながらもバカ騒ぎし続けたアルバムとなり、全曲を解説しても、し足りないほど一筋縄ではいかない楽曲達がおしくらまんじゅうで並んでいます。
My Chemical RomanceがThe Black Paradeを行進している間にGingerは、そのパレードを豪快に笑い飛ばし、快楽中枢を刺激しまくる楽しい楽しいロックンロールサーカスを生み出す事となりました。


とにかく「楽しい」としか形容できないアルバムです。


と言いながらも、サンプリングやメロディの拝借のセンスの良さも効いてますし、曲の構成もかなり複雑でジェットコースター張りに転調が重ねられた曲も多く、実に趣の深いアルバムにもなっていると思います。


それにしても「Yoni」はサンスクリット語でPussyだそうで。

これだけ女の子とPussyについて語られるアルバムも久しぶりで、ロックンロールに女の子は必要不可欠な事を改めて確認させて頂きました。
自分のように少しでもハードロックを通過したおいちゃんとロックンロールキッズにこそ聞いて欲しい作品。

ヨーニ
ジンジャー
B000KEGCQM


そして音が鳴った瞬間に傑作とわかる一枚。

とにかく色々考える前にこのアルバムを楽しんで頂きたいと思います。

今年最初に聞いた新譜がこのアルバムだった事で今年も音楽に救われました。


ロックンロールはやっぱ楽しいや。

2007年01月19日

ブリットポップの正当な後継者Little Man Tateの『About What You Know』

あちらこちらで語られているように昨年度のロックシーンはUK勢が目立ちました。
イギリスではブリットポップ期(90年代半ば)以来のバンドバブルと言われており、様々なバンドが誕生し、次から次に音源を発表しています。イギリスではシングルを発表する際にCDを二種類、7インチレコードを一種類(最近はその逆の組合せも多い)発売するアーティストが多く、また、三つのフォーマットをセットで買うと割引になったりします(3フォーマットで5ポンドとかです)。
面白い事にイギリスでは今、7インチレコードがブームになっています。日本ではDJを中心とした需要しかない7インチレコードですが、イギリスではかなり一般的にも流通しており、人気のあるバンドの7インチは完売になる事も珍しくありません。
その一方でマイスペースやサイトを利用したインターネットによる活動も当たり前になり、当然、ダウンロードによる配信も盛んになっています。
インターネットの普及は音楽業界に様々な変化をもたらしました。イギリスで話題になったバンドのほとんどがインディーズからのデビューである事はその最たる特徴だといえ、インターネットの可能性を感じさせる象徴的な出来事であるといえると思います。
しかしその反面、温かみのある物としてのレコードを所持している人が増えているのも、とても面白い流れだなあと思うわけです。


Little Man Tateはそんなネットでの口コミでデビュー以前から注目を浴びていたバンドです。
今のイギリスではバンド景気に煽られ青田買い的にデビューし、シングルを乱発するバンドが多い為、アルバムまで体力が持たずに解散したり、結局アルバムはシングルとそのカップリングの寄せ集め的な、いわゆる燃え尽き症候群のバンドが多数出てきています。

しかし、Little Man Tateが昨年末に発売したファーストアルバム(本国では一月末に発売)は、そんな不安を吹き飛ばす出来になりました。

このアルバム『About What You Know』には「THE AGENT」「WHAT? WHAT YOU GOT」「YOUNG OFFENDERS」「JUST CANT TAKE IT」などの初期の楽曲群は収録されませんでした。しかし、その事が逆に彼らのバイタリティとポテンシャルを際立たせていますし、イギリスではシングルとして「Sexy In Latin」「Man I Hate Your Band 」「House Party At Boothy's 」(「Sexy In Latin」は1/22発売)がリリースされているものの、そのカップリング曲の数曲が日本盤のボーナストラックに収録されているだけで、アルバムがシングルとカップリングで埋め尽くされる感も全くありません。

シングルを様々なフォーマットで提供しながらも、カップリングに未発表曲を収録し、尚且つ良質のアルバムを製作する。そして、デモ音源はサイトで無料でダウンロード出来る。

この様に書いてしまえば簡単ですが、これを普通に出来るバンドはそう数多くはいません。

その意味でもLittle Man Tateは現在を生きるバンドとして非常に理想的な活動をしているともいえますし、正に次世代のバンドといえるかもしれません。

ABOUT WHAT YOU KNOW
リトル・マン・テイト
B000JVS4BW


Little Man Tateは多くのバンドが振り払えなかったThe Libertinesの亡霊を吹き飛ばすような陽性のサウンドと非常にイギリス的な歌詞で、ブリットポップのエキスを凝縮させる事に成功しました。

そこにはモッズとレコードとフットボールがあり、それこそが正にLittle Man Tateが目指すブリティッシュロックの理想形なのかもしれません。

昨年のArctic Monkeysがそうであったように、今年イギリスで最初に放たれるアルバム『About What You Know』が今年を代表する一枚になるのかも知れません。

『About What You Know』はそれを十分に感じさせる内容となっています。

2007年01月25日

スウェーデンからの使者Sugarplum Fairyの無垢なストレート「First Round First Minute」

あまり知られてませんが、スウェーデンは世界第三位の音楽輸出大国(米国、英国に次ぐ)で、音楽工場と呼ばれるほど、沢山の音楽を生み出してきました。
スウェーデンからヒットを飛ばした音楽グループといえばABBA、Roxette、Ace Of Base、The Cardigansと女性ボーカルのグループが印象的ですが、それと同時に、勝るとも劣らないほど沢山の男気溢れるロックバンドも輩出しています。


さて、税金の関係なのかバカ高いスウェーデン盤しか流通していなかったSugarplum Fairyのセカンドアルバムですが、ようやく国内盤の発売となりました。

正直に言うと、普通の神経の人間なら今どきこの様なアルバム構成にはしないなというのが第一印象。

というのもこのアルバムは冒頭から5曲がアップテンポで飛ばしまくって、中盤からやや実験的なミドルテンポの曲を展開、そして最後にバラードという非常に極端なアルバム構成をしています。

ちょっと気が利いた人間なら一番のキラーチューンである「Marigold」をどの様に聞かせるかを考え、間にミドルテンポの曲を挟みたくなるものですが、この曲は無造作に5曲目に配置してあります。
アルバムのタイトルである『First Round First Minute』はモハメド・アリを意識したらしく(何だそりゃ)、『本当にいいアルバムや楽曲って、ボクシングでいう第1ラウンドの最初の1分でKOされる感覚に近いと思った』からだそうで、それを計算なしにバカ正直にやれてしまうところにSugarplum Fairyの凄さがあると思います。確かに聞いた瞬間に恋に落ちる音楽がある事に異論はないのですが、それをアルバムで表現する為に極端なアルバムの構成を打ち出したSugarplum Fairyの潔さは尋常でないわけであります。

個人的な前作のハイライト「Far Away From Man」「Sweet Jackie」を超える楽曲が粒揃いとまではいきませんが、全体的な楽曲の質とバラエティは前作より向上しているのは間違いありません。
もはや、Mando Diaoと比べる必要が無いほど(※バンドの中心であるノリアン兄弟はMando Diaoのボーカルグスタフの弟)、順調に成長していっている彼らが、近い将来とんでもない名作を作り上げるかもしれない。

そんな予感をヒシヒシと感じさせる一枚になっています。

ファースト・ラウンド・ファースト・ミニット
シュガープラム・フェアリー
B000KJTJN0


それにしても「Visible Karma」が中期のBeatles。

「Left, Right, Black, White」がOasis+The Stone Roses(セカンド時の)。

無駄に沢山入ったボーナストラック。

大変素直で宜しいと思います。

2007年02月08日

オーストラリアの名バンドYou Am Iが投げつけた「Convicts」の行方

以前もオーストラリア盤の価格が高いという話は書いたと思うんですが、ようやくYou Am Iという素晴らしいバンドの新作「Convicts」のUS盤(オーストラリア盤に比べると大分廉価)が発売され、購入出来たのでレビューを書きたいと思います。

私がYou Am Iを初めて聞いたのは、確かOasisの日本武道館の公演のサポートに抜擢された前後だったと思うので、恐らく「Hourly, Daily」か「Dress Me Slowly」だったと思います(記憶が曖昧)。
その当時、彼らは既にオーストラリアでの地位を確立していたものの、日本では全く無名の存在(今でも無名に近いが)だったにもかかわらず、Oasisの前座に抜擢された事が非常に印象的でしたし、You Am Iが、ほとんど聞いた事の無いオーストラリアのバンドだった事に興味をそそられたのを憶えています。

Hourly, Daily
You Am I
B000003MSK


Dress Me Slowly
You Am I
B00005IBMR


さて、You Am Iの新作(7作目)である「Convicts」は非常にコンパクトでありながらも、ロックンロールとしか形容できないサウンドに仕上がりました。
ボーっと聞いていたらあっという間の36分間で非常に短く感じるのですが、だからといって単調な作品ではなく、実に様々なタイプの曲が詰め込まれています。奇をてらうのではなく音の表現方法の幅を広げる事で、コンパクトにまとめながらも趣の深い作品を作りあげる。これって60年代の名盤と呼ばれるアルバムなんかも同じで、中毒性が高いアルバムというのは、一聴すると単調に聞こえるのですが、気が付けば何度も聴いてしまうものだと思うのです。


アルバムの一曲目からいきなりファーストに向かって剛速球を放つ「Thank God I've Hit the Bottom」でぶっ飛ばされ、ハードでやさぐれたように聞こえても、実は美メロ(You Am Iの真骨頂)の「Friends Like You」「Nervous Kid」の二曲の流れが素晴らしく、特に「Friends Like You」は素晴らしくポップな出来栄えです。


ちょっと脱線

The Muffs' Fanpage In Japan様のこの記事でぴかおさんがティーンエイジ・ファンクラブと比較されてましたが、自分は「Nervous Kid」を聞いてBeach Boysがまず頭に浮かびました。「Friends Like You」とか良く聞くとFountains Of WayneDeniseみたいだし、非常にポップで愛おしいメロディ書くなーと思いましたよ。この辺からもTFCぽいというのは同意です。多分TFC「Thirteen」あたりの音からノイズを引いてタイトにすれば、You Am Iに近づくのかと(つまりメロとコーラス部分とギターの鳴りなんですけど)。

脱線終了


また、You Am Iの素晴らしいところは遊び心や緩急を忘れないところで、「Thuggery」「Constance George」(Summertime Blues!!)といった楽曲のように息がつける様な、ホッとする様な抜きどころを短いアルバムの中でも設けているところが、このアルバムに色彩と温かみを与えているのではないかと思います。

こんな素晴らしいアルバムが日本では無かった事の様にされているのは非常にもったいないですし、もはやオーストラリアのロックシーンは無視出来ない状況になっているわけですから、日本のレコード会社もさっさと日本盤を出して欲しいものです。
オージーレーベルを作ってもいいくらい、今のオーストラリアの音楽シーンは充実していますので。

You Am Iの全作解説はぴかおさんのこの記事に詳しくあるので、興味のある方はこちらもぜひ参照してみてください。

自分も機会あればYou Am Iの他の作品もレビュー書きたいと思います。

Convicts
You Am I
B000JJRXGQ


また、以前ご紹介したYouth Group(こちらもオーストラリア)のアルバム「Casino Twilight Dogs」も廉価なUS盤が登場していますので、この機会にどうぞ。
名カバー「Forever Young」も当然収録されています。

Casino Twilight Dogs
Youth Group
B000LPR520
ラベル:You Am I Convicts

2007年02月20日

イギリス・リーズの音楽シーンが生んだThe Inventionの「Shock To The System」

リーズ(Leeds)はイングランドの都市。ウェスト・ヨークシャー地方に位置する。人口は約71万5千人(中心部の人口は約43万人)。ロンドンから鉄道利用で2時間半の場所に位置している。

リーズはイングランド内で3〜4番目に大きな都市と言われているが、町の中心から30分も車で走れば、牧草地に羊が群れて草を食んでいるヨークシャーの田舎の景色を十分に堪能できる。ヨークシャー・デール(国立公園)はイギリスの中でも主要なトレッキング・スポットとしても有名である。ヨークシャー人気質として、頑固で無骨、寡黙さ、一途さが挙げられるが、こんな自然環境が彼らの気質を形造ってきたと言えるであろう。
Wikipediaより

イギリス・リーズのバンドシーンが活発です。

リーズ出身のバンドとしては少し前までThe Wedding Present(John Peelが愛したバンド)がその代表格としてあげられてたと思うのですが、
ビザーロ
ウェディング・プレゼント
B0001E3D9A

最近ではKaiser Chiefsの名前が一番に挙げられます。実際Kaiser Chiefsの大ヒットがリーズに与えた影響は大きいでしょうし、インディーズのバンドシーンに活気を与えた事は間違いありません。その証拠に日本でも、リーズ出身のバンドとしてBlack Wire、The Pigeon Detectives、Duels、Forward Russia!、など多数のバンドの名前があげられるようになってきました。

また、リーズはマンチェスターにも近く、ダンスミュージックやクラブシーンも活発な土地柄です。その為、The Musicの流れを汲むビートが強めのバンドも数多く排出しており、昨年ロック系のクラブでも人気だったThe Sunshine Undergroundはその最たるバンドだといえるでしょう。ちなみに私は某通販サイトの情報でひとくくりにされていた為、THE KBCというバンドもリーズ出身だと思ってましたのですがこれは勘違いでした。。
レイズ・ジ・アラーム
サンシャイン・アンダーグラウンド

B000JBWXN2
オン・ザ・ビート
THE KBC

B000K0YEGQ


すみません・・・

正確にはTHE KBCはプレストン出身です(リーズ・プレストンは比較的近所さん)。


さて、今回紹介するバンドThe InventionThe Musicの流れを汲むバンドで、日本先行発売になった「Shock To The System」は未だ本国ではリリースされていないものの、一つの方向性と大きな可能性を感じさせる内容になりました。
この手のバンドに物足りなさを感じるのは、言葉をダンスビートに過不足無く乗せる事のみに焦点が合いすぎてしまい、同じ様なフレーズが繰り返される事でメロディの展開や表情が希薄になってしまう時で、そのメロディの単調さがサウンドより突出してしまう事で、楽曲のバランスを欠く時のように思います。
しかし、このThe Inventionのメロディはサウンドに不釣合いなほど親しみやすくポップな為、一歩間違えばすごくベタで不出来なポップソングに聞こえてしまうのですが、このサウンドに乗る事で新鮮さを維持しながらバンド自体の突破口を開く事が出来たのはないでしょうか?
数多く存在する同じようなバンドの中でも、もっさりと重たくなく、軽やかにすら感じるのはその辺に理由があるかもしれません。

The Sunshine Undergroundは多様な音楽の方向性をアルバムで提示し、意外なほどの器用さ見せ付ける事で将来性を感じさせましたし、THE KBCがアルバムで見せた、あのキラキラしたギターサウンドはダンスミュージックの影響下というより普遍的なロックバンドとしてのポテンシャルを感じました。

そしてこのThe Inventionはアルバム「Shock To The System」でメロディに力と可能性を感じさせてくれました。
1曲目の「FIVE-A-DAY」と2曲目の「VOLTAGE」のメロディに触れるだけでもこのバンドの曲を聞く価値はあると思います。

試聴はMySpaceで出来ます↓
http://www.myspace.com/theinvention2005

ア・ショック・トゥ・ザ・システム
インヴェンション
B000KEGCQW


新作をもうすぐ発表するKaiser Chiefsを先頭にリーズのシーンが盛りあがる事は、本当に素晴らしい事だと思います。

アングリー・モブ~怒れる群集
カイザー・チーフス
B000LZ55EK


しかし、その一方で日本では感じることが出来ない、小さな都市からの音楽シーンの盛り上がりに嫉妬と羨望すら感じてしまいます。
そんな事を思えば思うほど、日本の音楽業界に対する不安を感じてしまうのは私だけでしょうか?

2007年02月24日

再結成よりも大切なもの。John Power『Willow She Weeps』

今年はバンドの再結成の話が多く、最も再結成の多かった年として歴史的な一年になりそうです。

遅かれ早かれ再結成するだろうと思っていた、Smashing Pumpkins、Rage Against The Machineはともかく、Genesis、The Policeの大御所の再結成からお約束のGuns N' Roses、The Sex Pistols再結成話。The Jamに関しては中心メンバーのポールウェラー抜きでの良く分からない再結成(流石にバンド名にクレームが付きそうですが)。他にもVan HalenCrowded House、The Sugarcubes、などなど。 MY BLOODY VALENTINEなんて名前も挙がってますが、これは眉唾。個人的にはJamesJESUS & MARY CHAINの新譜が出てくれれば嬉しいと思っております。


さて、2005年に突如再結成してファンを驚かせたThe La'sですが、メンバーのJohn Powerのソロアルバムがこっそりと発売されています。先日発売された『Willow She Weeps』はソロアルバムの二作目ですので、ファーストアルバムである『Happening For Love』(名盤)は更にこっそりと発売されています。
ファーストアルバムでは瑞々しいギターロックを奏でて、ファンを喜ばせたJohn Powerですが、今作はかなり自身のルーツに迫った渋い作品になっています。

Happening for Love
John Power
B00007DNDW


彼のキャリアの中でいえば

ポップ
Cast

『Happening For Love』ファーストアルバム

The La's

『Willow She Weeps』セカンドアルバム

ルーツミュージック
渋い


音楽の傾向はこのような位置関係になっていると思います。
ただJohn Power自身、音楽の幅は狭くはない人なので、次作はCastのラストアルバムである『Beet Root』(名盤)のようなブラックミュージックよりのソウルアルバムを作るのではないかと勝手に予想しています。

新作の『Willow She Weeps』は渋い作品と書いたものの、そこはJohn Power。随所にポップなメロディも垣間見えます。ただ、爆発的に高揚感のあるナンバーは皆無で、前作で掻き鳴らされたアコースティックギターのカッティングは鳴りを潜め、フィンガーピッキングを多用しアーシーでフォークな音作りと独特のリズムに重きを置いた分、好みが分かれる作品だといえるかもしれません(この内容から次作を勝手に予想してるのですが)。
ただ、国内盤のボーナストラックである「Sleeping Soul」や「Yeah,Yeah」あたりはThe La'sの流れを汲みつつもポップな曲に仕上がっています。これはポップな曲を好む日本のファンに向けた彼なりのサービス精神と(勝手に)捉えたいので、購入するなら国内盤をお勧めしたいと思います。

Willow She Weeps
John Power
B000I6AFLU


私が世界で一番次回作を切望しているのはThe La's

昨年発売された『BBC in Session』が各方面で絶賛されていますが、これはThe La'sの本質をパッケージした作品だからで、2005年のライブを見た人にしてみれば、絶賛されるのは当然の結果です。

なぜならこの『BBC in Session』はあの場所で繰り広げられた音楽の匂いを感じられる唯一の音源だからです。

もし、貴方がThe La'sを聞いた事がないなら『ゼア・シー・ゴーズ~シングル・コレクション』を聞いて欲しい。

もし、アルバム『The La's』しか聞いた事がないのなら『BBC in Session』を聞いて欲しい。

Lost La's 1984-1986 BREAKLOOSE (1999年)
Lost La's 1986-1987 CALLIN'ALL (2001年) は聞かなくても良い


そして、もし気に入ったのならJohn Power『Happening For Love』を聞いて欲しい(アマゾンマーケットプレイスなら安価で手に入る)。

もっと気に入ったら『Willow She Weeps』Castのアルバムも聞いて欲しい。

そしてもう一度奇跡が起こるなら、ぜひライブに足を運んでもらいたいと思う。

BBC in Session
The La's
B000HD0Y4C
ゼア・シー・ゴーズ~シングル・コレクション
ラーズ
B000CBNZWW



色々な再結成が話題なるであろう今年。

アルバムを作らない再形成なんて蛇足でしかないし、再結成するバンド達の新作を楽しみにしたいと思っています。

2007年02月28日

The Feelingの『Video Killed the Radio Star』と音楽配信の好調

PC向け・携帯向けを合わせた有料音楽配信の売り上げ額が、2006年は前年比56%増の534億7800万円になり、同年のCDシングルの生産実績を上回ったことが、日本レコード協会が2月23日発表した有料音楽配信売り上げ実績で分かった。
ITmediaニュース
少し前のニュースですが、昨今の音楽業界の事情が読み取れる興味深いニュースです。
このニュースだけ見ると、フォーマットの変化による業績回復の明るいニュースの様に見えますが、シングルの売上は激減しているわけですので、音楽業界全体で見てみるとそれほど業績が伸びてるわけではありません。
むしろ心配なのは、有料音楽配信の売り上げの大部分を占める「着うた」等の携帯電話のサービスが頭打ちを迎えた時で、この時に音楽業界全体がどの様な方向転換を図ってくるかによっては、音楽業界の衰退に歯止めがきかなくなるのではないでしょうか?
今の有料音楽配信を支えているのは、若年層の利用者による携帯電話での利用ですので、これだけ一気に伸びた業績は、逆に若年層の移り気な消費動向の変化にも影響を受けやすいといえるでしょう。ですので、勘ぐって見た場合、非常に地盤が緩く危うい構図という見方も出来ます。

近い将来に間違いなくやってくるであろう有料音楽配信の頭打ち。その時にアーティストやレコード会社が、いかに優良なフォーマットやコンテンツを提供出来るか?そして何よりも規制にとらわれた業界のしがらみを破壊出来るのか?
このあたりが鍵を握っていると思います。


さて、The Buggles大ヒット曲『Video Killed the Radio Star』(ラジオ・スターの悲劇)はアメリカで開局したMTVが最初にオンエアしたミュージックビデオとして知られ、ラジオからミュージックビデオへ音楽のコマーシャルの媒体が変化した事を象徴した曲として知られます。

Video Killed the Radio Star
The Buggles
B00003CX1A


また、この曲は様々なアーティストにカバーされている事でも有名です。

最近のアーティストで有名なものを幾つかご紹介すると、良く耳にするPresidents of the United States of Americaのポップなロックバージョンに、Ben Folds Fiveのいかにもなカバーなどがあります。

Pure Frosting
Presidents of the United States of America
B0000062IL

Whatever and Ever Amen
Ben Folds Five
B0007TFGXU


個人的にはエレポップ界の最重要グループErasureの、原曲を更にヴォコーダーで歪ませてキラキラさせたカバーが秀逸だと思います。

Other People's Songs
Erasure
B00007FGIX


つい最近発売されたUKのバンドThe Feelingのカバーは原曲に忠実な仕上がりながらも、自分達の持ち味であるコーラスを生かしたバージョンになっています(シングル「Rosé」に収録)。このバージョンはライブバージョンですが、スタジオ録音に限りなく近いテイクだと思います。シングル「Rosé」のカップリングにはアコーステックで違った趣を見せ、名曲「Swen」の原形になったと思われる「Sewn(Dan's Original Version)」と、これまた名曲の「Fill My Little World」をファンファーレ調にアレンジした小品「Fill My Little Fanfare」も収録ですので、興味のある方はどうぞ。

それにしてもThe Feelingはこれでアルバムからシングルを、「Sewn」「Fill My Little World」「Never Be Lonely」「Love It When You Call」「Rosé」と 五枚切っており(「Fill My Little World」は再発されてるんで計二回発売されてます)、そのバイタリティの高さを発揮してます。
時代に逆行するかのような、アルバムからのシングルカットですが、この様にカップリングにも趣向を凝らした健全な作品が発表されるのであれば、それは素晴らしい事ですし、この様なバンドが存在するという事を多くの人に知って頂きたいと思います。

Rose
Feeling
B000MMMU2W


『Video Killed the Radio Star』は色々なアーティストとリスナーに愛される名曲になりました。

音楽配信が新しいフォーマットの中心となる年に『Video Killed the Radio Star』のような時代を代表する一曲が、果たして生まれるのでしょうか?

2007年03月05日

国境を越えるIdlewildの新作『Make Another World』

日本にいると中々実感がわかないのですが、イギリスという国は複雑な国でして、正式名称はグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国でイギリスという呼び名は通称でしかないわけです。
ご存知の通り、イギリスはイングランド (England)、 ウェールズ (Wales)、スコットランド (Scotland)、 北アイルランド (Northern Ireland) の四つの非独立国の集まりです。
自分達が良く使うUKという単語もUnited Kingdomの略ですので連合王国という意味になります。

ですので、ひとことにイギリスといっても、そこには日本人の理解が及ばない歴史的で民族的でデリケートな問題もあるわけです。

その中でスコットランドは独自の文化や音楽を育んできた場所でもあり、非常にトラッドで暖かみのある作風の音楽を沢山生み出した場所でもあるわけです(スコッチだけではないのであります)。

そんなUKはスコットランド出身のバンドIdlewildの新作『Make Another World』は今までの作品の総決算的な内容になっています。
個人的には前作ほどの驚きや感動は無いけれども、胸を張ってお勧めできるバンドになったものだと感慨が深い一枚です。

元々IdlewildはUSインディーズの要素を取り入れたUKバンドとしてデビューしたわけですが、この系譜の音を鳴らしているUKのバンドの名前がほとんど挙がらない中で、唯一で独自のポジションを築き上げてきたバンドといえると思います。
もう、ハッキリと断言してしまえば、初期のR.E.M+UKロック=Idlewildの構図はどうしても浮かんでくるわけで、これはあちこちで書かれていることだと思いますがボーカルのRoddy WoombleR.E.Mの影響を受けているのは明らかであって、それを隠すわけでもなく高らかにUKの音に昇華させていると思うのです。
デビュー当時からマイケル・スタイプ+モリッシー的なボーカルである事は指摘されていたのですが、自分がハッキリとマイケル・スタイプの影を感じたのはRoddy Woombleのソロアルバム『My Secret Is My Silence』(名盤)であって、Roddy Woombleの歌声が穏やかになり、ルーツに迫れば迫るほどスタイプ色が顔を覗かせます(音楽的には少し離れる部分もありますが)。
ソロアルバムではスコティッシュなトラッドミュージックを普遍的なフォークソングとして奏でているRoddy Woomble
作中で随所にフューチャーしてあるKate Rusbyのボーカルが彩りを加えており、全体的に暖かい作品となっています。
また、Idlewildの盟友Rob Jonesや奥さんであるSons & DaughtersAilidh Lennonが参加している事が肩の力が抜けた作品になっている要因のひとつになっているのだと思います。
余談ですがプロデューサーのJohn McCuskerKate Rusbyの旦那ですので、二組の夫婦がこのアルバムには参加しているという事になります。そりゃー素敵で暖かい作品になるわけです。

My Secret Is My Silence
Roddy Woomble
B000GFKUJU


話をIdlewild本体に戻します。
今作の『Make Another World』は非常にバランスが取れた作品だと思うし、前作『Warnings/Promises』(超名盤)の穏やかさに不満があったIdlewildを昔から聞いているファンも納得の出来ではないかと思います。

Warnings/Promises
Idlewild
B00076SJ5U


微妙な表現ですが『Make Another World』R.E.Mのキャリアで言えば『Monster』のような作品ではないかと思います(一般的に評価に低い『Monster』ですが、自分は好きな作品です)。
Idlewild一番ポップで【D・I・S・C・O】(PV参照)な「No Emotion」R.E.M「What's the Frequency, Kenneth?」的な名曲としてとして存在感を放ち続ける事になると思います。
ただ単に昔のパンキッシュで攻撃的なIdlewildが帰ってきたというより、前作の路線を継承しつつも原点に帰ろうとしたことが生んだ進化であるといえると思います。
前作よりキラキラしてメロウな部分が減ったとはいえ、ギターの音色が格段に響く今作は、現在のIdlewildの健全なバンドの状態を現しています。

Monster
R.E.M.
B000002MU3


Make Another World
Idlewild
B000NJWJHA


スコットランドから出てきたIdlewildが、ジャンルや国境を超えて多くの人が聞くべき音楽を奏でるバンドになり、そしてUSロックとの架け橋になろうとしている。

その意味でもIdlewildは素晴らしいバンドだと思います。
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