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2008年01月17日

Bishop Allenの才気溢れるEPが生み出した魔物『The Broken String』

近年の音楽業界においてアーティストがアルバムをリリースする間隔が長くなる傾向にある事はご存知かと思います。
才能やアイデアの枯渇、マーケティング、シングル曲やベスト盤との兼ね合いなど様々な理由はあれど、才気が溢れて出して零れ落ちるかのように作品に投影し続けているタイプのアーティストを見る事は少なくなったような気がします。
例えばBeatlesが長期にわたりアルバムをリリースし続けていたバンドだと思っている人も多いわけですが、Beatlesは1963〜1970年の間の7年間にアルバムを12枚出しており、実に一年に一
枚以上のペースでアルバムリリースを続けました。これは当時としてはそれ程珍しくないリリース間隔で、Beatlesに限ったことではありません。
それを考えるといかに現代がスローペースのリリースなのかはわかるのですが、それが音楽の創作意欲と別の部分が理由となっている現状は憂うべき事なのではないでしょうか。


さて、2007年 BEST ALBUM部門で1位に挙げたBishop Allenですが、実は2006年に毎月EPを発表するという荒行を成し遂げています。しかもこの内容が凄まじく、4曲入りのシングルEP盤(しかもカバー曲無しの全曲オリジナルでデモ音源の類は含まれない)を11枚とその楽曲を中心としたEPという名の14曲入りのライブ盤というものなので恐れ入ります。
そして、更にその中の9曲を新録し新曲を加えたアルバムを2007年に発売。
それが『The Broken String』というわけです。

Bishop Allenのような作品のリリースの間隔は音楽史上を顧みても、ほとんど例が無く、もはや歴史的快挙といっても差支えが無いと思います(The Wedding Presentというバンドが1992年に同じような事を敢行していますが、2曲入りで1曲はカバー曲でした。しかし12曲全てがTOP 30入りを果たしていますし、これはElvis Presleyの年間チャートイン曲数の最高記録に並んだそうで、大記録である事には変わりないと思います)。
とはいっても肝心なのはその内容という事になります。
結論からいえば、『The Broken String』は全曲実に地味なんですが聞けば聞くほど味のあるサウンドとメロディでクオリティの高い楽曲のみで構成されています。
各EPの完成度から考えれば、これは至極当然なわけですが、改めて一枚にまとめられるとその凄みが際立ちます。
Kinks、Zombies、Bob Dylanを敬愛しているそうですが、Kinksほどタイトではないし、Zombiesほど甘くも無ければサイケでもありませんが作品全体が程よくBob Dylan的なフォークの暖かみに溢れている為、音の密度が濃く完成度が高いながらも親しみのある音に仕上がっています。
この絶妙のバランスがBishop Allenの武器だと思うし、作品を作り続けてる事でその部分を極め、どこかで聞いたようなサウンドをだけど他に例を見つけ難いサウンドに仕上げる事が出来たのだと思います。

また、Bishop AllenJustin RiceChristian Rudder(ちなみにハーバード大出身だそうで、俳優業もやっているようで)の二人が中心メンバーと成っており、バンドというよりユニット色が強いですが、今作に参加しているDarbie Nowatkaのボーカルとルックスを含めた存在感が作品の中でも程よいアクセントになっていると思います。

The Broken String
Bishop Allen
B000RGSOCS


Bishop Allenの活動は2006年は作品を作り続け、2007年にアルバムを発売、そしてツアーを敢行するといった流れにあり、12枚のEPはもちろんの事、アナログ盤、CD、ダウンロードと全ての作品は彼らのオフィシャルサイトで購入出来ます。
この販売システムと一連の流れはリスナーにとっても利便性が高いですし、アーティストとリスナーを直接繋ぐ理想的な相互関係のように見えます。
少なくとも自分は、このDIY精神こそが2000年代のアーティストのあり方の一つだと思いますし、ある意味、これからのインディーズロックのあり方を提示しているのではないでしょうか。

Bishop Allen『The Broken String』を2007年度のBEST ALBUMとして取り上げたのは、その作品もさることながら、2006年のThe EP projectからの流れを踏まえたアーティストとしての姿勢とDIY精神に共感した為です。

その意味ではRadioheadよりも本質的で画期的だったのがBishop Allenであり、『The Broken String』こそが自分の中では2007年を代表する一枚に成り得たという訳です。


既に海外においてはRadioheadを筆頭にアルバムの新たな販売方法が模索されています。しかし、2008年は更に一歩踏みこんでアーティストの本質的な部分を見つめなおした販売方法が新しい流れに加わって欲しいものです。

そのきっかけになるべき作品がBishop Allen『The Broken String』なのかもしれません。


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