スポンサードリンク

2007年10月27日

Bruce Springsteenの傑作『Magic』のポップネスと望郷の念

一般的に日本において90年代の洋楽シーンはオルタナで幕を開け、ブリットポップに浮き立ち、ニュー・メタルで終焉を迎えます。
90年代の音楽は80年代の反動だといわれ、その音楽の方向性が極端に違った為、90年代の中では80年代の音楽が埋没する結果となったように思います。
自分のように90年代の初めから熱心に洋楽を聴いて来た世代にとってはメジャーでないアーティストを聴く事が当たり前だったし、それこそがオルタナティブ・ロックの発端だったように思います。
だから、Bruce Springsteenのような80年代を象徴するヒーローは自分にとってどこか遠い存在だったし、そのジーンズの後姿さえもなんだか照れくさいものでしかなかったように思います。
そんな自分にとってのBruce Springsteenは90年代の終わりに改めて聴いた「Hungry Heart」で、佐野元春の「SOMEDAY」の元ネタである事以上に、その瑞々しくポップなサウンドを再認識出来た事から始まったように思います。そして、2000年代に入ってのBruce Springsteenの活発な活動にリンクしていく事でBruce Springsteenに没頭出来たのだと思います。


という事でBruce Springsteenの待望の新作『Magic』に関して少々。

前評判ではロックンロールに回帰した作品との事だったのですが、それはある意味正しかったのですが、『Magic』の本質はもっと別のところにあると思います。
ジャケットに写るBruce Springsteenの実直な目からは、悲しみを含んだ静かな怒りを感じ、同じくBruce Springsteenの表情が前面に出たジャケットである『The River』の頃の憂いの表情と比べて見ると、非常に重厚な凄みを感じます。

ザ・リバー(紙ジャケット仕様)
ブルース・スプリングスティーン
B0009J8GX0
Magic
Bruce Springsteen
B000V8I2QU


楽曲に関しては先行シングルである「Radio Nowhere」を筆頭に、非常にポップで万人受けしそうな曲が並んでいるのですが、中でも「Girls In Their Summer Clothes」Bruce Springsteenのポップネスが爆発した名曲に仕上がっていますし、「Girls In Their Summer Clothes」から「I'll Work for Your Love」への感動的な流れには万感胸にたまらなく迫ってきます。
もちろんBruce Springsteenの真骨頂でもある「Your Own Worst Enemy」「Last to Die」の様なメッセージ性の強い楽曲も印象的で、宗教的でありながらも深みのある歌詞は、現在のアメリカ社会的状況に対する警告でもあり、怒り、そして嘆きのように感じます。
しかし、Bruce Springsteenはその様々な感情を吐き出す一方で、一縷の希望も歌っています。それこそが「Long Walk Home」という曲であって、この曲がアルバムの中で最も象徴的な曲になっており、「Long Walk Home」の軽快なサウンドの中で歌われる望郷の念と希望こそがBruce Springsteenの伝えたかった「Magic」なのではないかと思います。
オランダ系とアイルランド系の混血の父とイタリア系アメリカ人の母を持つBruce Springsteenは、何度も自らのルーツに回帰した作品を通過し、再構築し続けています。そしてその再構築の過程で新たなサウンドを生み出しているBruce Springsteenが、『Magic』の様に瑞々しく、そして世界中に届く音楽を作り続ける事が出来るのは必然の事であるといえるでしょう。


惜しむらくは日本において基本的にBruce Springsteenは聴く世代が限られるアーティストである事で、もっと多くの若いリスナーも手にとって聴いて欲しいと思いますし、それだけの価値を持ったアーティストである事は間違いありません。伊達にUK・USはもちろん、10カ国のチャートで第1位を取ったアルバムではないという事です。


怒りすら通り抜けた悲しみとロマンティシズムに溢れた傑作『Magic』

Bruce Springsteenの黄金期が再び始まろうとしています。


マジック
ブルース・スプリングスティーン
B000VOOMZE


Bruce Springsteenの国内盤は対訳・ライナーともに充実しているのでお勧め出来ます。


スポンサードリンク

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/62612710
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。