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2007年10月13日

『さざなみCD』で示したスピッツの新しいスタンダード

自分にとってスピッツは焦点を絞らないとレビューが延々と続いてしまうバンドのひとつであり、一生付き合っていくバンドのひとつでもあるので、今回は出来るだけ新作『さざなみCD』に絞ってレビューしたいと思います。


スピッツの新作『さざなみCD』を繰り返し聞いて思ったのは、このアルバムはフラットで偏りのないスピッツサウンドであるという事。
一聴するとシンプルなギターロックアルバムに聴こえるのですが、実は非常に丁寧に時間を掛けて作り込まれたアルバムであり、全編を通してクオリティの高い楽曲が並んでいるのはもちろん、既発のシングル曲もアルバムの中で絶妙に配置されている為、より一層の輝きを放っています。
聴いて頂いた方はお分かりでしょうが、『さざなみCD』スピッツの近年の作品の中でも特にギターロックに回帰した作品となっており、随所で三輪テツヤのギターが嬉々として鳴り響く作品となりました。
これはStone Roses(つまり60年代的ギターサウンド)な「群青」Nirvana「Na・de・Na・de ボーイ」。そして、ハードロック風なギターが駆け回る「点と点」などに顕著に見れるのですが、元々はパンクであったり、シューゲイザーに憧れたギターバンドでもあったスピッツの本質が垣間見えます。
この様に60〜90年代を総括するようなギターサウンドをサウンドの中心に置いた『さざなみCD』だったからこそ、一曲目はアコースティックギターが壮大に響く「僕のギター」で始まらなくてはならなかったのだと思います。
前作『スーベニア』がギターの見せ場が少なく、アイデア一発勝負的で勢いのある作品でもあったので、その意味で『さざなみCD』『スーベニア』と対をなす作品であるといえるでしょう。
ですので、『さざなみCD』『スーベニア』で欠けていた部分を補完するかのように、ギターバンドとしての原点に回帰した作品に仕上がったのは必然のように感じます。

また『さざなみCD』は非常に【色】を感じる作品となっており、歌詞カードを見ればはっきりと分かるのですが、歌詞の中には様々な色が登場します。そしてサウンド自体もギターロックのフォーマットの中で精一杯に色を放っており、色彩豊かな作品になったように思います(ちなみにジャケットの女性はモデルの早川【みどり】だ)。

ただ、一点だけ古くからのファンが違和感を感じる点があるとすれば、暗くはみ出しものだったスピッツや埋伏の毒的な異形のものが感じられないという点で、「P」「ネズミの進化」といった楽曲でその片鱗は感じられるものの、やや物足りない部分ではあるかもしれません。

歌詞の面に目を向けてみると、そこには大きな変化は無いものの、カタカナ表記の面白みが強調されていたり、ハングル表記などに目新しさを感じます。
草野正宗の書くそこはかとないエロスは「不思議」という曲で存分に堪能出来ますし(というか捉え方によっては相当エロな歌)、日本語の持つ多様性や情緒を単語で紡ぎ出すという草野正宗の世界観はもはや揺らぐ事はないのでしょう。


さざなみCD
スピッツ 亀田誠治 草野正宗
B000VAQY4U



結成20年を経ても経ても経つくさないスピッツこそが、ロックンロールでありパンクでありポップミュージックである。


新しい地球の音を味方につけた『さざなみCD』は、スピッツが示した新しいスタンダードとなり、ここから始まるスピッツの第二章を飾るデビューアルバムなのかもしれません。


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この記事へのコメント
「群青」→STONE ROSES、「Na・de・Na・deボーイ」→NIRVANAっていうのはちょっと乱暴すぎるような気もしますが(笑)そう考えて聴いてみるのもすごく面白いですね。ここに書かれているようにスピッツをつくる重要な要素の一部であるパンクだったりシューゲイザーだったりハードロックだったりっていうのはこれまでのアルバムにも見ることができますが、このアルバムにもそれがちゃんと出てるように感じられるのは嬉しいですよね。
「暗くはみ出しものだったスピッツや埋伏の毒的な異形のものが感じられないという点」に関しては、自分はそれほど違和感は感じなかったのですが、これまでにはあまり見られなかったようなストレートで前向きな表現や力強い歌詞があるということはかなり印象的でした。変わっていく中にも変わらないスピッツらしさがちゃんとあって物足りなさを感じさせないところは本当にすごいなと思いますし、そこが自分がスピッツを好きな理由のひとつでもあります。
また、エロに関しては「不思議」はもちろん解釈のし方によっては「桃」や「Na・de・Na・deボーイ」「トビウオ」なんかにも感じられるように思いました。
最近はほぼ毎日「さざなみCD」ばかり聴いてますが、しばらくはじっくり歌詞カードも見つつ、色々想像しながら楽しんで聴きまくりたいと思います。
Posted by Fujiwara at 2007年10月17日 21:02
>Fujiwaraさん

Stone RosesとNirvanaの例えに関しては、楽曲自体よりギターに着目してもらえればなと思います。楽曲自体は別モノなんで(笑)。
まあ、Stone RosesやNirvanaに限らず洋楽を聴いてるリスナーにスピッツをもっと聴いて欲しいなと思っているし、その辺のバックグランドを色々と想像しながら聴いてみるのも楽しいなと。

スピッツは変わっていないように見えて実は凄く変化しているバンドで、だからこそ第一線で活躍し続けているのだと思います。それが、終わる事など無いのだと強く思い込んでれば、どうにかやっていけるのだという事なんだと思います。
Posted by jojo at 2007年10月18日 10:20
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