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2007年06月04日

中村一義の先祖返りと100Sの『ALL!!!!!! 』

という事で前エントリーの続きです・・・

ここ日本において中村一義が90年代以降を代表するアーティストである事は疑いの無い事実で、同時にソロでデビューし実績を残した後に、バンド形態へ移行して作品を作り続けるという極めて珍しいスタンスを取っている稀有のアーティストでもあります。

また、中村一義の持つ特殊なカリスマ性は多くの人間を惹きつけるものであり、実際、自分の周りにも中村一義に対して特別な想いを抱いている人は多くいます。
しかし、同じ想いを抱いたはずのリスナーの中村一義に対する評価は大きく二つに分かれてしまう事があります。

あくまでもソロ時代の中村一義に思い入れを持ち(特にファーストアルバム『金字塔』)、それ以降を否定するのか、それとも中村一義から100Sに形態が変わっても全てを許容し、強い思いを持ち続けるのか、この両極端な評価を耳にすることが多いです。

では、今回のアルバム『ALL!!!!!! 』はどのように耳に届くのでしょうか?

前作『OZ』は圧倒的なボリュームに創意を詰め込んだ意欲作であり、ソロ活動から本格的にバンドでの活動にシフトしながらも中村一義自身が自在にタクトを振った感があり、方向性としては納得のいく作品でした。
そして今作『ALL!!!!!! 』では、よりバンドサウンドにこだわりを見せ、コンパクトでロック色の強いサウンドを中心に一気に展開していきます。
リードシングルである「希望」「ももとせ」の時点で、前作からの流れというより、バンドサウンドにシフトしていく事は想像できたので、そのこと事態には何の不思議も無いのですが、中村一義が掛け続けた魔法が、まるで魔力を無くしてしまったかのように、矢継ぎ早に昇華されるサウンドには少し物足りなさを感じます。
歌詞の面でも生と死に向きあった「Q&A」や政治的主張すら感じられる「なあ、未来」などシリアスな部分が今まで以上に目立ちます。これは、中村一義本人がインタビュー等でも語っている通り、自分のルーツの一部である中国(彼に1/4の中国の血が流れている事が最近分かったとの事)への想いも影響しており、それは「蘇州夜曲」のカバーからも推し量ることが出来ます。

中村一義がソロ活動時代に表現した閉塞感からの一縷の希望は、ありのままでむき出しの「希望」として表現され、どこかに違和感や引っかかりを感じながらも、それを吹き飛ばすくらいの瞬発力を見せたメロディラインはバンドサウンドとしてのアンサンブルの影に身を潜めています。
もちろん、サウンドの質は向上し、バンドとしては一応の完成形を見せている為、非常に聴きやすく間口の広い作品ではあるので、今作をきっかけに中村一義の音楽を聞く人は増えるのは間違いないでしょう。
その意味で今作『ALL!!!!!!』中村一義の音楽の入門編でもあり完結編でもあるといえるでしょう。

ALL!!!!!! (DVD付)
100s 中村一義
B000O5B1HM


宅録時代に叩いてた中村一義のドラムが好きだったとある友人は言いました。

その気持ちは非常に分かります。

その一方で、中村一義の頭の中で鳴っていた音は元々はこんな音だったのかもしれないなと『ALL!!!!!!』を聞きながら思いました。

安心感や信頼感をフッ飛ばしながらも感じる期待感。

それは『OZ』を聴いた時には微塵も感じなかった気持ち。

先祖返りした中村一義の表現する次の世界に思いを馳せたいと思います。


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