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2007年05月12日

パッケージの魅力を過剰に伝えるNine Inch Nailsの『Year Zero』

例えば、レコード時代にRolling Stones『Sticky Fingers』のジッパーやVelvet Undergroundのバナナがあったように、音楽にはただ単に音楽を聴くという事以外にも付随した遊び心があったと思います。
残念ながら自分はリアルタイムでのレコード世代にはギリギリ間に合ってませんが、歌詞やライナーノーツを手に取る喜びや、アーティストの独自の遊び心を楽しみに音楽を聴いていたように思います。

Sticky Fingers
The Rolling Stones
B000000W5N
The Velvet Underground & Nico
The Velvet Underground
B000002G7C


もちろん、CDなどパッケージ販売が音楽配信にシェアを奪われていくのは仕方ない事だとは思っていますが、その一方でパッケージ販売にしか出来ない仕掛けや購入意欲を湧かせる為の創意工夫を、最近のアーティストからはあまり感じない事を非常に残念に思います。


さて、Nine Inch Nailsというバンド(実際はTrent Reznorのソロプロジェクトといっても差支えが無い)が発売した『Year Zero』のパッケージには非常に面白い仕掛けが施してあります。

Year Zero
Nine Inch Nails
B000O178BY


ジャケットに関してはP2Pとかその辺のお話さんのこの記事に詳しくありますが、著作権侵害警告を皮肉った警告文を印字しています。

個人的にもイカシタ音楽を知る為の方法の一つとして、友人に教えてもらうという重要なファクターがある限り、その事すら否定しかねない著作権関連の縛りは必要ないと思っています。

また、『Year Zero』のCD自体にも面白い仕掛けが施してあって、熱によってCDの色が変色し、そこに秘密のコードが隠されていたり、それを解読する事によってシークレットサイトのURLが浮かび上がり、シークレットトラックを手に入れられたり・・・

過剰なまでに様々な仕掛けが施してあります。

シークレットサイトの詳細に関してはB3 Annexさんのこの記事に詳しく掲載してあります。

この辺の仕掛けはゲーム大好きTrent Reznorらしいもので、非常に凝った物になっています。
個人的にはちょっと凝りすぎかなとも思いますが、パッケージ販売と音楽配信を繋ぐ一つの方法論として評価されるべきアイデアである事は間違いありません。


最後に肝心の内容に関してです。

正直なところ、この「様々な仕掛け」の話が無ければ新作を購入してたかどうかわからなかったのですが、前作の『With Teeth』と比べてサウンドに緊張感や切迫感を感じます。ヒップホップ的なアプローチが増え、インストの曲もあるのですが、Nine Inch Nailsらしいベタなポップさも失っていない事で非常にサウンド的にはバランスの良い作品に仕上がったと思います。
また、『Year Zero』は近未来や世界の終焉をテーマにしたコンセプトアルバムで、アメリカ政府に対する皮肉や警告が満載な内容となっており、コンセプトアルバムとしての完成度の高さとそれを補完する形でのパッケージとの相互関係は成立しているといえるでしょう。

サウンド面だけをとっても、『Year Zero』Nine Inch Nailsのキャリアの中で最高傑作とまでは断言できませんが、難解すぎた『The Fragile』、開放的ではあったものの、やや弛緩してしまった感のある『With Teeth』を超える出来ではないでしょうか。

The Fragile
Nine Inch Nails
B00001P4TH
With Teeth
Nine Inch Nails
B000929AJQ


本当に手にとって見たくなる作品。

これが今後のパッケージ販売の鍵を握ると思います。


自分の好きなアーティストが意図的に歌詞を伝えようとしないアーティスト(初期のR.E.Mの様に)でないのならば、歌詞カードがある事を嬉しく思う。
そして、それ以外にワクワクする様な事が起こるのであれば、もっと嬉しく思う。

単純な話で本当にそれだけだと思う。


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